組紐と言えば、単色の紐も素敵ですが、組み方により生み出される鮮やかな色のコントラストが特徴ですね。
普通は異なる単色の糸束を組む事で複雑な色合いを出すんですが、田中十靴組紐は糸の束の段階で黒と紫を混ぜてもらっています。
糸の束の色を選んだんじゃなくて、糸から選んだんです!!そしてあの独特の色のコントラストを無くす作業をしました。
前編でも書きましたが、全体は黒っぽく見えて真っ黒じゃない所まで持って行くの非常に苦労しました。
素材は、絹57%ポリエステル43%
蝋引きの靴紐と言えば素材はコットンです。実はコットンのサンプルも依頼しました。それはそれで良かったのですが、せっかく組紐メーカーさんに依頼するのだから絹を使おう!!となった訳です。
でも絹は水、摩擦に強くないんです。なので絹に限りなく近い質感で絹に比べ圧倒的に強度のあるシルクポリエステルにて補いました。
毛羽立ちもなく独特の光沢があるので蝋引きはしておりません。
田中十靴組紐は平紐です。
ただの気分で平紐お願いしてみました。今巻きたいのが平紐なだけです。
しかしどうも面倒くさい事を頼んだようで...
組紐は丸紐を平らに潰して平紐にする事も出来るようです。
しかしその場合、最も細くとも幅は6ミリくらい。ドレスの紐としては幅が広すぎるんですね。
ほか平紐もあるんですが厚みが薄くペラペラで革靴の紐としては不向き。
そこでメーカーさんが組む機械をアレンジしてまだ市場には出回っていないんじゃないか?という10打ちという方法で組んでくれました。
幅約3.5ミリといったところでしょうか?厚みもそこそこあります。
糸束は7本の糸で形成、10本の糸束で組まれているので10打ち。糸は計70本使用されています。
黒糸、紫糸ブレンド作業、手作業でやってくれてるんですよね。有難う御座います。
前編に書かせて頂きましたが、この糸の配分を何度も調節し色を変え、出来上がったのがこちらの紐です。
いつもの黒靴を誰にも悟られずに変化させるのはいかがでしょう?
そんなに主張はありません。田中十靴組紐は商品としてもインパクトなく分かりずらいのが売りと言えば売りです。
田中十靴組紐 75センチ(5~6穴用) 価格¥2,200(税込)
(紐先、金ゼル使用。当店で加工致します)
先にも述べましたが、色や艶に特化する為、水や摩擦に強くない絹糸を使用しています。
他の紐に比べ強度や結びやすさが売りではありません。
ガシガシ履く道具としての革靴に巻く紐なのに結構繊細な紐である事ご了承ください。
やはり今後、茶色の組紐にもトライしてみたいですね。こげ茶にしっくりくる紐、ライトブラウンに合う紐、バーガンディー等々
黒紐なのに、混ぜる色を変えてバリエーション!というのも面白い。
靴紐は固定するための道具と同時にアクセサリーと考える事も出来ます。組紐自体がそうですね!!
今後も色々試していこうと思います。