当店のエクスクルーシブとして展開しているWinson shoemaker×田中十靴店のGrit dress collection
(Grit dress collectionとは、グリット=タフさ、ドレス=クラシックでドレッシーさ、二つを併せ持つコレクションを意味する私が必死こいて捻りだした造語です)
その内容の通りドレスシューズのシルエット(木型)、ドレスシューズに使用される上質なアッパーマテリアル、ハンドラスティング、ハンドソーンウェルトにより作られた靴の底周りにリアルなワークブーツコンストラクションを合体させたタフさドレッシーさの融合コレクションです。
今年に入り、すでにコレクションの第二弾が入荷しご好評を頂いております。がしかし!
なんと製造を依頼しているWinson Shoemakerについてのご紹介をまだしておらず未だミステリアスなコレクションとなっておりましたので今回はWinson Shoemakerについてのご紹介をさせて頂きます。
Winson ShoemakerはEmil Rahmana Putra氏がインドネシアのバンドンにアトリエを構え、ハンドラスティング、ハンドソーンウェルト製法を駆使し、注文を受けてから一足一足製造する誂え靴メーカーです。
そのメーカーに何故私がエクスクルーシブ、しかも既成靴を注文することになったのか?は、話が長くなるのでその点はまた後ほど...
2014年、Winsonshoemakerの代表であるエミルはバンドンの大学で情報工学を学ぶ学生でした。その当時、家賃を払うために、安価なブーツを製造し販売し始めたそうです。
その靴についてはお客様からのクレームが多発。
しかし、エミルはこのクレームを品質向上のチャンスと捉え、靴づくりについてオンラインで独自に学びスキル向上に努めます。どんどんのめり込み知識も増え品質が向上し、ついには自身のブランドを立ち上げる事となったわけです。
本当にブログ等を読み漁り、動画を観て独学で靴づくりをマスターしたとの事です。
Winson Shoemakerは設立当初、カジュアルに履けるワークブーツを製造していました。ところが時がたつにつれインドネシアの他の靴職人の間で同じようなスタイルの靴製造が盛んになり、彼は刺激がなくなったんだそうです。
因みにインドネシアには結構沢山のワークブーツメーカーが存在します。私もネットで調べたことなんですがインドネシアはかつてオランダ領であった歴史から、元々ブーツ製造が盛んでそれが時の経過とともに独自進化を遂げていったようです。
エミルの話に戻ります
類似商品が増えた事を切っ掛けに、ベベルドブラインドウェルト、フィドルバックウエスト等の超クラシックでドレッシーな靴に興味を持ち、刺激を受けて彼はここでもなんとインターネットのみでドレスシューズ製造を学習しノウハウを習得していきます。
エミルの作り出すドレスシューズはどれも非常美しくドレッシーであり、私は発見した当初(私もインスタで発見、ネットですね)また綺麗な靴を作る人見つけたしデザインの参考にしようというぐらいにしか思わなかったんですが、同時に何かどこにも属さない彼の独自性も感じたものです。
独学で靴づくりを学んだ経緯もありクラシックな靴にあっても、彼にはどこか既成概念に囚われない自由さを感じます。
私は田中十靴店を立ち上げた当初から、インスタで自然にワークブーツを目にする機会が増え、ドレスシューズにはない底周りの仕様や機能面、そしてそれが故に生まれるシルエットになんだか急に興味をそそられました。そしてドレスシューズのデザインにワークブーツのテイストを盛り込むようになります。
Winson Shoemakerのお話の続き
Winsonブランドでは、そこから数年間カジュアルなワークブーツとエレガントなドレスシューズを平行して製造するようになります。
そしてエミルは2つのスタイルを区別することを決断。エミルが最初に作り始めたワークブーツはMidas Bootmakerとして、ドレスシューズはWinson Shoemakerとして別のブランドとなった訳です。
因みにWinsonという名前は、エミルの父であるザーウィンさんから取られました。ウィンさんの友人たちは彼をPak Winと呼ぶそうです。また、ウィンさんはテーラーをしておりそのお店の名前がWin’s Tailorだったとの事です。
Winさんの息子さん(Son)でWinson、Winson Shoemakerというわけです。
さあ、そこから田中十靴店で何故Winson Shoemakerの既成靴を取り扱うことになったかですが長くなるので今回はここまでとさせて頂きます。
長々と申し訳ありませんがよろしければ次回もお付き合いください。