革靴のデザイン
足を保護したり、はたまた美しく魅せたりするために足の形をした革のキャンバスに描かれたデザイン。
もう出尽くしてますね。新しいデザインと言えど何かが基になっていたりバランスを変えたりして新鮮味を出しています。
しかし、またこのちょっとの違いを加えて人と違う物を履いたり、したりすること自体が楽しかったりするんですよね。違いの匙加減を楽しんだり...
当店のTLB Mallorca タッセルローファー
私のイメージではタッセルらしさ全開のタッセルローファーです。
アメリカ発祥のデザインタッセルローファー
これはあくまでイメージですよ?
全体的に丸っこいフォルム、モカステッチもトウの丸みに沿ってラウンド
横からの厚みも何か、らしさが溢れています。
でも、ここが他とはちょっと違う
通常革紐が通っているこの履き口部分
ハンドステッチの凸凹にて紐飾りを表現しているんです。
TLB Mallorcaを始めるにあたってスペイン・マヨルカの工場兼ショールームに行きましたが
行くまでは、通常のコインローファーを発注しようと思っていました。
ですが、このモカステッチを纏うタッセルローファーを見て「あ、こっちにしよう!」と直感で決めたモデルなんです。
この糸通っている凸凹が革の艶と相まって、いい表情なんですよね。
履き込む事でより表情よくなるでしょう。
ある意味完成されたデザインのバランスを奇抜にいじるのではなく、ちょっとした遊び心を加えて変化をもたらしています。こういうのにやられます。
更にここが他とはちょっと違う
個人的に好きな仕様です。
ヒール部分も含めて360°ウェルトが掛かっている仕様。(今のところ当店のみの仕様かと思います)
ストームウェルトまでいかないおとなしめの張り出し。
こうする事でこの外側のストレートなラインが生まれます。
ヒール自体にほんの少しボリュームが加わり靴のフォルムが浮き立つよう。
では、何故こんな張り出しを作ったりするのか?
実は、少し力の抜けたカジュアルな雰囲気を出したいからなんです。
ここから話はちょっと逸れていきます。
なぜこのヒールの出っ張りや丸み、ステッチ等がカジュアル感なのか?またカチッとしたスタイル(フォーマルの対義語はインフォーマルであり、カジュアルとは相対しないのでここでは使いません)とは何が違うのか?
お仕事でも着る機会のあるスーツ、カチッとしたスタイルはラペル、ショルダー、パンツに当てるセンタークリーツ等、角で構成されています。そして体のラインに沿って無駄のないシルエットになるんじゃないでしょうか?
おのずと靴も無駄が省かれ(ソールなんかも出来るだけ絞り込まれて張り出しがなかったり)装飾の少ない靴を履合わせると全体的に纏まったりします。スクエアトウなんかも角で構成されたスーツスタイルに相性いいですよね。
ではカジュアルな装いは?
イメージとしては、お仕事着として着るスーツをベースにデカいポケットが付いたり、ボタン増えたり、一番分かりやすい所では、シルエットがルーズで丸みを帯びていたりします。今の季節ならジャケット羽織らずに角ばった部分が少なくなったりもしますね。
言い方を変えるとカジュアルな装いとは、少し無駄を作ってやる作業なんですね。
なので丸みあるシルエットの靴は丸みを帯びたカジュアルな服のコーディネートに溶け込みやすいし、気持ちルーズなシルエットな服には360°ウェルトの出っ張りとボリュームが溶け込みやすい。
(溶け込みやすいというだけで全部が全部じゃないですよ)
こんな理由から、ちまちまと分かりずらい所に拘り、ほんの少しのカジュアル感を追い求めております。
ですがその匙加減は大事にしています。
例えばウェルトをストームウェルトにして張り出し、よりボリューム感を出すとカジュアル感が増します。ですが無駄を省いたスーツスタイルには合せにくくなります。(合わせても格好いいスタイルはあると思います)
あくまでドレススタイルに履く事の出来る範囲内での違いを楽しみたい。
要はお仕事着も普段のカジュアルなスタイルもどっちにも履きたい。
これは永遠のテーマですし、相容れない部分も多々あります。極論を言えばローファーをスーツに合わせるてどういう事?とか色々言い始めるときりがないですが、それはシュチュテーションによって変わるとも思います。
- TLB Mallorca Model 546
- 価格 ¥63,800(税込)
- 素材 MUSEUM CALF
- 色 MARRON
- 底材 Single leather closed channel sole
- 製法 Goodyear
- ウィズ F
(シューキーパーは付属しておりません)
靴単体としても物凄く格好いいと思います(質も雰囲気も)
一方で洋服と合わせて服と靴一体となった時に、他の靴との違いをよりいいと思って頂ければとも思います。
この違いの匙加減でどっちのスタイルにも履いてみたいと思って頂けたら嬉しいです。
どっちかに偏っても全然オーケーです!!
皆様のご来店、ご利用を心よりお待ちしております。